韓国の導師との出会い

韓国式太極拳 コンギョン氣功

 

 

五年ほど前、韓国から
氣功の名人が来られるというのを友人から聞いて
会いに行った。
韓国の政府が認める、国家指定名人
キム・ジョンソク氏である。

 

以下、金導師と呼ばせていただく

 

 

 

最初に金導師とお会いしたのは
田舎の公民館だった。

 

こんなところにそんな人間国宝級の人が
ほんとに来るのだろうか・・・

 

と、その胡散臭さに疑いのまなざしを向けつつ
私は心の中で、まゆつばものだから早く帰ろう、
と、ひそかに思っていたのだが

 

一緒にやらせてもらって、考えがすぐに変わった。

 

 

これは本物だ!と思ったからだ。

 

 

何をもって本物と言うのか
それも人それぞれの考え方があろうが

 

私は、常に
本物はシンプルでカンタン、誰でも出来るもの、
という基準がある。
なんでもかんでも難しくしているのは人間だ。

 

 

本物とか、真理ってやつは
常に簡単でシンプルなものだと思っている。

 

 

そして、どこでも誰にでも出来て
お金もかからない。

 

シンプル イズ ベスト 
シンプル イズ ビューティー

 

である。

 

 

それと、私がこれまでに氣功をやってきて
良いと思ったことは、お客さんや生徒さんに教えてきたのだが
それがほとんど同じようなことをされているのである。

 

 

しかも、それプラス古くからの伝統格式
きちんと体系だててある型があった。

 

 

 

これだ!と思った私は

 

それから連日、金導師が日本におられる間

 

少しでも学ばせてもらおうと、熱心にに通ったのだった。

 

 

 

 

 

韓国の国家指定名人

 

キム・ジョンソク氏

 

金導師は、韓国の氣功の名人だ。
政府が認めた国家指定名人である。(第15ー422号)

 

日本で韓国料理のお店をしているママさんに
調べてもらったところ、ちゃんと名前が載っていたそうだ。

 

だから、国家指定名人

 

日本で言うところの人間国宝級のお方
である事に、間違いはない。

 

 

 

なぜ、わざわざ調べてもらったのかと言うと、

 

胡散臭くて、とても信じられなかったからである。

 

 

紹介者は、きちんとした人なのだが、
そんな人間国宝級の人が、
こんな田舎の公民館に来るかな、
と言うのが、私の最初の偽りなき印象であった。

 

 

だいたい、いで立ちから胡散臭い。
白いカンフーの服装で、頭は半分くらい白髪で
西城秀樹のような長髪であった。

 

眼光鋭く、
なにやら、仙人のような雰囲気を醸し出してる。

 

 

まぁ、最初、眼光鋭く感じたのは、
全く言葉がわからず
コミュニケーションが取れなかったからで

 

その後、とても気さくなおっちゃんだという事が判明した。

 

 

一番最初は、通訳をしてくださる先生も
一緒に来られていた。
日本のある会社に雇われていて、
何年か前に、日本に出張で数か月来ていたことがあり、
その時に覚えたとかで、日本語は堪能だった。

 

 

この先生は、今でもその会社の重役さんであり、
日本のお客さんの接待で日本語にも慣れていらっしゃる。

 

 

私たちは、誰も韓国語が話せないので
金導師と直接お話が出来ない。

 

 

なので、この通訳をしてくださる金先生
とても仲良しになった。

 

この先生も金さんと言う名前だ。

 

金先生を通して、色々お話を聞く事ができた。
金導師と、金先生は徴兵で一緒だったらしい。

 

 

金導師は、元、陸上の棒高跳びの選手だったそうだ。
膝を痛めオリンピックを断念してから
氣功の世界に入ったという事だった。

 

 

棒高跳びでも、そこそこ優秀な選手だったのだろう。
けれど、膝を痛めてからは
ものすごく荒れて、
お酒に溺れて、廃人のようだった、
と、ご自分で言われていた。

 

 

そこから、中国やアメリカや、色々な先生の指導を受けられ
痛かった膝や、悪かった肝臓もすっかり良くなった、
と言われていた。

 

 

金導師を日本に連れてきた人も

 

自分が病気で、藁をもすがる気持ちの時に
ある大学の先生からの紹介で
金導師の元を尋ねられたという事だった。

 

 

 

学会で知り合われたので、身元は確かだと思うし、
何より金先生は優しく穏やかで、
すごく良いところの人だろうという、
上品さを醸し出していらっしゃったので

 

何も疑わしいことは無かったわけだが、

 

 

金導師に関しては、
そんな有名な先生がこんなところに来るかなぁ、
と言うのと、
こんなに気さくなおっちゃんが、氣功の名人なのかなぁ。
と言うので、私は、半分くらいはまだ疑っていた。

 

 

けれど、氣功を教えてもらってからは
考えが180度変わった。

 

 

金導師は、
そうそう、まさしくそれだよね、
と言うことを教えてくださった。

 

具体的には、五臓六腑(内臓)を、強くする体操
とか、動物の動作を真似た体操とか

 

とにかく簡単でシンプル。
わかりやすく的を得ている。

 

 

小難しくないところが良い。

 

 

私が、これまでに体得した気功法の中で
これは効果がある、と思われるものを
今まで、一定の生徒さん達に教えて来たのだが、

 

 

ほぼ同じような事を教えていらっしゃる。
そして、歴史の重みがあり、
その上、体系立ててある。

 

 

もう、これだ、と思った。
よくぞ、私の目の前に現れてくださった。

 

 

神さまの思し召しか…という感じで
これは、習うしかない!と思った。

 

 

熊本に滞在される間に、なるべく教えてもらおう
と思った。

 

私の生徒さん達にも、声をかけた。

 

私の生徒さん達は、私から習うからいいです。
と言っていたが
私とはレベルがまるで違う。

 

 

直接習っておいた方が絶対に良い。
こんな機会は、滅多にないのだから、

 

と、珍しく私が力説したので
生徒さん達もみんな、金導師から
氣功法を教えてもらう事になった。

 

 

そして、ずっと大事にされていた
秘伝の氣功法も教えてくださるという事だったので、
なおさら、直接習っておいた方が良い。

 

今回の熊本が、日本初なのだ。
素晴らしい事だ。

 

 

 

しかし、この秘伝の氣功法は、
金導師があまりに大事にして来られたものなので
全然知られていない。

 

秘伝は、一子相伝という形で伝えられるものだ。
口伝である。

 

 

なので、私達も最初はすごく神経を使った。

 

なぜならば、ビデオを撮っても良いが
最後まで真剣に習うという、本気のメンバーだけに公開し
一般の人には、公開してはいけないという条件付きだった。

 

 

あくまでも、メンバーの練習用にのみ
使っても良い動画なのだ。
他の人には、知られちゃいけない。

 

 

けれど、この秘伝の氣功法を
日本で広めて欲しいというのが、
金導師の願いだった。

 

 

私は、はたと困った

 

他の人に知られちゃいけないのに
どうやって宣伝して、どうやって広めていけば良いのか
皆目見当がつかない。

 

日本で何か流行らせたいと思っている人は
たくさんいるに違いない。

 

そうして、その人たちの誰もが
あらゆるメディアを使ってガンガン宣伝しているのにも関わらず、
ほとんどのものが、流行らないのである。

 

そんな中、こんなに人に知られていないものを
いくら体に良い事だと言っても、

 

こんなにこっそりやっていては、広まるわけはない。

 

 

けど、金導師は流行らせたいらしい。

 

はたして、そんな事が出来るのだろうか?

 

 

 

そうは言っても、一子相伝の秘伝である。
とりあえず、習っておいて損はない。

と、ちゃっかり者の私は考えた。

 

流行らせる事が出来るのかどうかは、置いといて
教えてくれるっていう間に
じゃんじゃん習っとこうぜ!

 

というノリで、私たちは金導師の元へと
練習に通ったのである。

 

 

しかし、最初は12名ほど集まった有志たちだったが

 

金導師が、日本に来られる期間に詰めて練習会をするので
月に3日間、夕方6時から9時までというのを
連続で行うのだ。
3時間の練習を3日間連続、というのは
けっこう厳しい。

 

皆、何かしら仕事を持っていたり
お勤めだったりで、
3日間連続で練習に出てくるのは、かなりハードルが高い。

 

 

なので、人数は徐々に減っていった。

 

金導師は、わざわざ韓国から毎月来られるわけで

 

それが、何ヶ月続くのかわからないけれども
来てくださる間は
私は、何事も万障繰り合わせて、練習を優先させたのだが

 

そこまでの熱意がある人は、そうそう居なかったようだ。

 

 

練習会に来る人数が減って来たり、
遅れて来る人たちが増えてきた。

 

そんな時は、金導師は非常に不機嫌だった。
悲しそうでもあった。

 

で、来ているみんなに
なぜ、他の人は来ないのか?と問われる。

 

なぜ、人数が増えないのか?
と問われる。
これにはホトホト困った。

 

来ている人たちは、ヤル気があるから来ているのだ。
ヤル気があって来ている人たちに、そんな事言われても…

 

私たちではどうすることも出来ない。

 

 

それよりも、時間が惜しいので
少しでも先に進めてほしいのが本音だった。

 

 

 

2回目の来日からは、通訳無しだったので
スマホのグーグル翻訳だけが頼りだった。

 

 

グーグル翻訳様だけで、難しい氣功法を習っていたのだ。

 

無謀な事である

 

もっと、論理的なことも教えたい様子だったが、
仕方がない。
通訳は高くて雇えない。

 

 

グーグル翻訳様のご機嫌で、訳の分からない通訳で、
行き違い勘違いも多かったのだが、
それでも、基本、楽しく学ぶことができた。

 

 

これは、金導師の人柄もあるのだろう。
無理難題を言われても、憎めない所があり

 

それに、とても純粋である。

 

 

本当に、私達ひとりひとりを大切にして
丁寧に丁寧に、何度も繰り返し指導される。

 

何度もやって見せてくれるので
一番動いていたのは、金導師だったと思う。

 

 

今だから言えるが、最初はみんな
ひどかった。

 

すごい初心者ばかりだったので、
どうなるものか、と思われた。

 

覚えの悪さに、半ば呆れながらも
それでも、投げ出すことなく
来られる人達には、丁寧に何度も何度も
繰り返し、教えられたのである。

 

これにはいつも感心していた。
もともと、すごく優しい人なんだろうなぁ、と思う。

 

 

 

そして、全くの素人だったメンバーのみんなも
少しずつ上達し、
今、残っている人達は、
いっぱしの氣功の使い手に、育ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

金導師・秘伝の気功術

五禽儀・六字訣

 

 

 

韓国の名人、金導師

 

秘伝と言われる氣功術を色々教えてくれた。

 

 

中国でも有名なものに、五禽儀というものがある。

 

五つの動物の動きを真似た動作をするものだ。

 

今から約1800年前、華陀という人が考案した
運動療法である。

 

 

 

六字訣と言って、声の響きを利用して内臓に働きかける術もある。

 

音と動作で内臓を強くするなんて、まさに氣功術といえよう。

 

 

 

達磨大師の瞑想法とやらも伝授してもらった。

 

背骨を整えるのに良いらしい。

 

 

そして、金導師が最も大切にされているのがコンギョンという
武術系の氣功法だ。

 

このような秘伝と言われるものは、一子相伝の形で
代々受け継がれていくもので
現在の伝承者は金導師ひとりであると言われた。

 

 

だがしかし、
秘伝だった為、あまり広まっていないのだ。

 

大事にしすぎて、韓国のお弟子さんたちにもあまり教えてこなかったらしく
金導師もある程度のお歳になられたので
ここにきて、考えが変わられたのだろう。

 

 

そういうこともあって、日本で興味を持ち
習得したいと思っている私には、実に丁寧に教えてくれた。

 

 

たまたまのご縁であるが、ラッキーとしか言いようがない。

 

 

 

ただ歩く、という動作だけでも効果がある。

 

これは、私も長年太極拳をやってきたたのでわかる。

 

太極拳の歩行法は自分のお客さんや生徒さんにも教えてきたのだ。

 

 

 

その歩行法に限りなく近い動きだ。
これは体に良いに決まっている。

 

 

ゆっくりとした動作は、呼吸も同じようにゆっくり深くなる。

 

 

 

今はみんな忙しいので、動きが せこせこしている。
品がない。

 

せこせこした動作は、品がないうえに体が硬くなる。

 

凝り固まって体のあちこちが痛くなったり不具合いが出るのは
そうした、あわただしい動作のせいである。

 

もう少し落ち着け、と言いたい。

 

 

 

背骨をアンテナにして
天からの氣をすーっと通すのである。

 

地に足をつけるのは、グランディングという。

 

 

 

ゆっくりとした深い呼吸で

 

背骨を通して、繋がるのである。

 

 

 

まずは、ゆっくりとした動作
心がけられると良いと思う。